匿名の行動に関する考察 (熱暴走中)

 日本語を解するネット人格をウォッチしていますと、匿名であれば勇気ある行動(憫笑) *1をとれる人格を散見します。
 あと、IP抜かれたり、Whoisで住所氏名抜かれた後で、いきなり取り繕った発言をしだす人(格)とか。


 べつに「はてな」に限ったことではありません。
 にちゃんでもスラドでも同じですね。


 たぶん、実社会で自分の身元を明らかにした上で、同じことをしているわけではないでしょう。(ごく一部に例外あり)


 なにが彼ら彼女らを そうさせるのでしょうか。
 ふだん組織の歯車として言いたいことも言えず、やりたいことも出来ずにいる反動なのでしょうか。


 ともあれ、匿名の(日本語を解する)ネット人格にモラルを期待するのは難しいようです。残念ながら。
 もちろん例外も有ります。ハンドルの匿名性に頼らず、逆にハンドルの持つ人格を大切に育てている人たちです。
 彼ら彼女らは、そのハンドルがスポイルされることを恐れますので、実社会同様のモラルを期待できます。


 はてなダイアリー住民は、固定ハンドルによるダイアリーのオーナーであり、ハンドルを捨てると今までのダイアリーも捨てざるをえないわけで、モラルを期待できる匿名さんとして扱われています。


 しかし、2003年クリスマス騒動は起こりました。
 固定ハンドルによるダイアリーのオーナーが口火を切り、終焉を遅らせています。
 いったい、何が起こったのでしょうか。


 誰にでも分かる要因が幾つか有ります。



 (1)元々ダイアリーを自己表現(ストレスの捌け口)の場として使っていた。当人にとっては、そのための「はてな」だったと推察
 (2)多重ID・生まれ変わりIDを手軽に作れるので、(ダイアリーのバックアップさえあれば) IDを気軽に使い捨てられる(と判断したのでは)
 (3)いくら暴れても、重いお咎めは無いと見切った



 なんとも気の重い話です。


 まあ、(1)はスルーしましょう。ダイアリーの価値など人それぞれです。
 問題は(2)と(3)でしょうね。ダイアリーにおいて、匿名の人格が社会性無視の自由(!)な活動をする原因は、おそらく この2点です。


 本来、匿名性と生まれ変わりは、ネット人格の大きなアドバンテージであり、あたらしい文化の重要なファクターとなりうる存在です。
 立場の左右強弱に囚われず、実社会での報復を恐れることも無く、自由に発言できることの価値は計り知れません。
 実社会における過去の歴史では、この種の権利を勝ち取るためだけに、世界中で多くの血が流れたと認識しています。


 そんな貴重な権利を、我々は (はてな限定ですが) 最初から与えられています。そして、さらにその上を目指すチャンスが与えられています!!
 我々は大きな可能性を手にしています。
 なのに、今、その可能性を、自由を、失おうとしています。とても悲しいことです。


 はてなに限らず、日本におけるネット社会の(契約亡き)実社会化は憂慮すべき問題だと思います。



 かなり話題が逸れましたので、はてなダイアリーに話を戻します(汗;
 はてなダイアリーでは、今まで(1)がネックになっていて、モラルハザードが起きにくかったのだと思います。
 あと、(3)を見切っている人が少なかった。


 残念ながら、今後は安心できません。
 時代の流れに逆らってコミュニティを健全に保つためには、再ID登録に対する制限と「お咎め」の強化が必要になるでしょう。
 あるいは、「個人情報の登録」のような形で (運営陣に対する)匿名性を排除することになるかもしれません。
 これが、行き過ぎた自由に対する代償です。


 たぶん、はてなが悪いわけではないのでしょう。
 信認され自由を与えられた我々ユーザーが、その期待に応えられていない面があります。


 もちろん、我々には何の権限も有りません。有るのは言葉と論理くらいです。
 暴走する人も、それを止める人も、条件はイーブンです。


 その上で、我々は、少なくとも私は、言葉による暴力を言葉で阻止できませんでした。行動による暴力を行動で阻止できませんでした。
 自分の無力をかみしめつつ、今後の歯止めが思いつきません。
 困りました。同じ事が起こったときに、止める方法が無いのは致命的です。


 はてなには、実力のあるユーザー様が大勢いらっしゃるので、今後の対策をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
 それらの手を打って、なおかつ問題が解決しなかったら、(運営陣の強制力により) 我々は またひとつ自由を失うでしょう。大きな可能性と共に。



 なんとか、我々自身の手で自由とその可能性を護る方策が無いものでしょうか?

*1:ルール違反と承知の上で、あんなことをやったり、こんなことをやった上で居直る行動のことです。