【考察】「はてな」らしい「はてなブックマーク」の為に

はてなブックマークの楽しみ方

 キーワードシステムやフォトライフを含む、はてなのサービス全般に言えることですが、「はてな」というのは、情報を登録する楽しみと それを利用する楽しみの組み合わせが絶妙なんです。
 人力検索で培ったノウハウというか方法論が、徹頭徹尾 活かされてるんです、実は。


 その点、はてなブックマークはどうでしょうか。


 はてなブックマークは「ソーシャル・ブックマーク・サービス」と銘打たれています。
 システム的には、注目エントリーや検索機能の充実など、『ソーシャル』のほうに重点を置いているようです。「情報を利用する楽しみ」ですね。
 はてなスタッフ日記等でのアピールを拝見していても、登録された情報を如何に楽しく利用するかの説明に力が注がれているようです。


 これに対して、「情報を登録する」ことについては、カテゴリー・キーワードの自動抽出やタイトルの共用化等、ユーザーの負担を極力減らす方向で実装されています。
 いわば、「情報を登録する煩雑さ」を感じさせない仕組みづくりに見えます。
 さて、これで「はてな」らしいサービスに育つのでしょうか。
 私は、このままでは途中で失速しそうな気がして心配です。


 やはり、「登録する楽しさ」が無いとデータは集まりにくいと思うのです。人力収集データ有ってこその「はてな」ですから、これはもったいないと思います。
 ここは是非、「楽しく登録する」サービスに育てたいところです。


 さて、ブックマークを「登録する楽しさ」って、なんでしょう。

  1. 自分の登録したブックマークを利用してもらう楽しさ
    • アンテナ数やアクセスカウンタアップに通ずる楽しさ
  2. 自分のブックマーク集を育てる楽しさ
    • 「自分のブックマーク」を作りこんだという満足感と愛着 (キーワード類の登録・編集に通じる楽しさ)
  3. 自分にとって使いやすいブックマーク集を作る楽しさ
    • いわゆる「マイ・ブックマーク」としての楽しさ

 大きなところでは、こんなところだと思います。
 上記のような、(パブリック かつ) パーソナルなブックマークとしての楽しさを追求し、ユーザーが楽しみながら情報量を増やせる仕組み作りが肝要だと思います。
 それが有ってはじめて、ソーシャルなブックマークとしての利用方法が活きてくるものと愚考します。


 はてな様には、はてなブックマークを「はてな」でしかできない「はてな」らしいサービスに育てていただきたいと希望します。

自分にとって使いやすいブックマーク集を作る楽しさ

 ソーシャルブックマークといえども、マイ・ブックマークとしての個々のブックマークが使いやすくなければ成り立ちません。
 はてなブックマークも、せめてアンテナ程度の使い勝手を実現するべきです。


 (パーソナル用途での)ブックマークの使いやすさは、簡単に登録・メンテできるかどうかと、見たいリンクをストレス無く探し出せるかどうかに掛かってます。
 はてなブックマークでは登録・メンテは(シンプルすぎるほど)簡単で、ブックマークレットの操作などの「最初の壁」さえ乗り越えれば問題有りません。ヘルプを充実させて最初の壁を低くしつつ、カテゴリーの自動認識の精度を上げれば、最強とも言えます。(ソーシャルとしての「はてなブックマーク」は、人力カテゴライズによるフォルクソノミー*1を重視しないという前提です)


 反面、「見たいリンクをストレス無く探す」機能は充実しているとは言えません。
 各ユーザーのブックマークには、ソーシャルブックマークの一部を構成する情報を登録するわけですから、一人当たり数百件のオーダーのエントリーをストレス無く検索できないといけません。また、無用になったデータを削除する手順や操作も簡単でなければいけません。(データの陳腐化防止、不要データにより登録上限に達した場合の対処)

 ブックマークのいまの反応速度でストレス無くリンク(というかエントリ)を検索するには、一覧表示をチェックするのは数ページ(100件)程度が精々だと思います。(みんながみんなブロードバンドな人たちではないです)
 一人当たり数百件のオーダーのエントリーをストレス無く検索するためには、適切なカテゴライズ(絞込条件)によるエントリ数の適正化が必須です。
 そのためには、やはりユーザーレベルでのカテゴライズ機能が必要となるでしょう。
 自動カテゴライズは はてなブックマークの大きな特色ですが、個々のブックマークにおいては各カテゴリーの登録エントリ数に偏りがあり、一覧表示に不都合があります。ユーザー毎に必要となるカテゴリーの種類や粒度は異なるはずです。


 では、どんな方法が良いでしょうか。
 例えば、アンテナはタイトルとグループ分けだけでかなりの操作性とオリジナル性を実現しています。また、ダイアリーの見出しに付けるカテゴリーは柔軟で簡便なカテゴライズを提供しています。これらを参考にして、何か出来ないものでしょうか。


 たとえば、はてなブックマークのエントリーに (現在の共通部分だけでなく) 個別のユーザーが情報を登録できる部分を用意して、エントリーの個別部分にユーザーカテゴリー欄を設けるのが良いと思います。
 ユーザーカテゴリーは、ダイアリーやグループ日記の見出しと同様のロジックで登録します。たとえば、

タイトル(共通): これこれ
URL(共通): http;//hogehoge.org/fugofugo.html
ユーザーカテゴリー(複数可): [記事][ネタ][はてな]

みたいなイメージです。
 この例ですと、タイトル「これこれ」のエントリーはユーザーカテゴリー「記事」「ネタ」「はてな」の3つに属し、これらのどれで検索してもマッチするようにします。
 このぐらい柔軟に扱えるようにしておけば、ダイアリーの記事一覧やアンテナと同じ程度の操作性を保証できると思います。(UI次第で)

自分のブックマーク集を育てる楽しさ

 *自分* のブックマーク集を育てる楽しさは、タイトルやカテゴライズ、収集したエントリーによって、自分なりの特色を出すことによって成り立ちます。
 もう一歩踏み込んで、「はてな」らしさを強調するなら、自分が収集したエントリーに独自情報を付け加えることで、キーワード風な楽しさを付加することも出来ます。


 タイトルは、今でもカスタマイズ可能なので、十分なオリジナル性を持っています。
 カテゴライズについては、前述のユーザーカテゴリーがそのまま使えます。
 あとは、「はてな」らしい、(独自情報による) キーワード風味の楽しさを付け加えたいところです。


 たとえば、エントリーの登録・編集時にコメント欄を用意して、

タイトル(共通): これこれ
URL(共通): http;//hogehoge.org/fugofugo.html
コメント: おもしろおかしい。信じるものは掬われる(爆)

みたいに登録できるようにする案です。
 URL+コメントによる、ちょっとした「言及ブログ」機能を用意するだけで、各ブックマークのオリジナル性が格段にアップします。おそらく、書くほうも見るほうも楽しめるでしょう。お勧めです。


 問題はコメント欄をエントリーの共通部として実装するか、個別部分として実装するかです。
 ソーシャルブックマークの基礎データであることを考えれば、共通部として実装し、全ユーザー共通の情報を皆で書き換えていくやり方が良さそうにも思えます。
 が、しかし。キーワード界隈の騒動をブックマークに輸出するのにも抵抗があります。なにより、個々のユーザー別にコメントを書いたほうが、個々のブックマークのオリジナル性が増し、書く楽しさも見る楽しさも向上すると思いますので、ここは敢えて“個別部分への実装”を提案いたします。


 個別のブックマークを一覧表示しているときは、そのユーザーのコメントのみ表示、entryリスト経由で個々のエントリーを詳細表示しているときは、全ユーザーのコメントを表示(するか、あるいは「このエントリーをブックマークしているユーザー」部分に、そのユーザーのコメントを表示するURLへのリンクを追加)すれば、パーソナルデータとしての面白みを保持したまま、ソーシャルブックマークとしても面白みが出るのではないかと思います。

自分のブックマークを利用してもらう楽しさ

 ダイアリーで言えば「アンテナ登録数」や「アクセスカウンタアップ」の楽しさでしょうか。あるいは「トラックバック」や「コメント」をいただく楽しさがこれにあたるでしょう。
 キーワードなら自動リンクスコア、EANコードなら星の数が近いかもしれません。
 フォトライフなら、Vote数(お気に入り)ですね。


 はてなブックマークでは、USERSの数がこれに近いかもしれません。
 でも、「自分が登録したブックマークが 他に何人の人に登録されているか/登録されるか」というのは、かなりマニアックな楽しみ方だと思います。ソーシャルな楽しみ方としては妥当な価値観ですが、こういうボランティア精神は長続きしないのが普通です。他に動機付け(楽しみ)が必要ですよね。


 正直、どうすればよいのか考えあぐねているところですが・・・。私は、各ユーザーのブックマークにもっと焦点を当て、各自が自分のブックマークの利用され具合を把握できるようにすれば励みになると思います。
 具体的には、各ユーザーのブックマークへのリンク元やTBの記録、パブリックブックマークのインポート機能(被インポート数の記録)、「これは」と思うエントリーへのVote機能などが、これに相当すると思います。
 ただ、これでは簡易ダイアリーに近づきすぎるので、できれば違うアプローチが欲しいところです。考え中(^^;

結語

 以上、「はてなブックマーク」を「はてな」らしいサービスに育てる為の考察を述べました。
 まだまとまってなくて、だらだらと長文を書いてしまい、(いつものこととはいえ) お恥ずかしい限りです。


 ともあれ、『 (人力で) 情報を登録する楽しみと、それを利用する楽しみの組み合わせが有ってこその「はてな」サービス』である点を再確認いただき、今後に活かしていただければと望むものです。 < id:hatenadiary

*1:元となった言葉からすれば「フォークソノミー」と書くほうがより適切だと思いますが、ひょっとすると「フォルクソノミー」のほうが通りの良い表現かもしれないので、こちらを採用しています。