「すべてが得不になる?」

 推理小説家(としての)森博嗣先生のブログで、著作権問題についてちょっとした注目を浴びる記事が掲載されました。


 第一回目『http://blog.mf-davinci.com/mori_log/archives/2007/05/post_1142.php』、第二回目『http://blog.mf-davinci.com/mori_log/archives/2007/05/post_1159.php』と続きます。第三回目で残りの瑣末な問題を取り上げる予定だそうです。
 私は結構著作権とかの知的財産権を気にするタチでして、これらの記事にちょっと注目しています。


 森先生は、

(略)
 1点め。僕が書いたことは、「こうあるべきでは?」という僕の意見である。(略)、僕が観察して、「ここがおかしい」と思ったから書いた。
(略)
 2点め。小説の著作権が特異な点は、知ることで消費が達成される商品であることだ。(略)。小説も、何度も読みたい人は本を手放さないだろうが、それはごく一部のマニアであり、多くは、1度読んで、「知る」ことで消費される。(略)
 工業製品が行きわたりつつある現代において、発想や創作などの知的な生産品は、国際的な競争力も含めて、今後の経済を左右する重要な資産となるものだ。だからこそ、創作者の権利を保護し、才能を育てる土壌というものが必要だと考える。
(画像:略)
 3点め、図書館や古書店の話をすると、「でも、それで読者は増える」とか「これで本が売れる効果もある」という反論があるのだが、(略)「それでは古本業者は死活問題だ」という声もあるが、それもテーマではない。著作権を守るにはどうすべきか、という話をしている。読者を増やしたり、本を多く売ることが目的ならば、それはまた別の方法で解決すべきである。

http://blog.mf-davinci.com/mori_log/archives/2007/05/post_1159.php

と記載されています。長文ですので、引用にあたり抜粋させていただきました。
 正直な感想としましては、、、一回目の記事より分かりやすかったです(笑)
 以下、読書感想文的雑感です。


 引用部分の1点めは、スタンスさえ明確であれば了解できることですから、スルーします。理想は理想。それでOK。
 私の理想の中には、国民の知る権利を護る(公営図書館の機能は何らかの形で残す)というものも有りますが、ここだけピックアップしても意味はなさそうです。全体を俯瞰して考えないと。今回はスルー。


 2点めは、『創作者の権利を保護し、才能を育てる土壌というものが必要』との点に同意。ただし、私は、それを護る方法が著作権の厳格化に限定されるとは考えていません。現状の規則に基づいた、常識的な選択肢であることは認めますけど。それはそれとして、もっと幅広く考察するべきものだと思います。アホの子なので、“自分の答え”は用意できてませんけど。


 でも、現行法の理念や経緯に囚われず理想を追求するという前提なら、権利の保護や才能の育成と、それを支える資本(消費者含む)の在り方や社会の公益も、既存の枠に囚われずに理想を追求するべきかと愚考します。


 たとえば、オンライン書籍(小説・コミック)等が商業ベースに乗る可能性を残している以上、書籍(小説・コミック)等の概念が社会の変容に取り残されてはいけないと思います。思考実験とも言えない単なる夢想ですが。(理想は、あくまで理想ですから)
 音楽や映画等の複製可能な情報による芸術や創作物は、今後否応なく複製され消費されていくでしょう。たとえ消費の型が違うとしても、そこに乗り遅れた為に権益を手放すことになるのは賢いやり方だとは思えません。
 それでなくても活字離れが心配される昨今、著作に関する権利を強化しても、お客様が別の創作物に乗り換えてしまったのでは、創作者を支えきれません。
 複製可能な情報を扱う以上、その創作者を護り支え育成する為には、権益の還元方法を根本から見直さねばならないでしょう。
 それは書籍(小説等)の売り切り・再販禁止という形かもしれませんし、『月○○円で読み放題』のオンライン着歌方式かもしれません。もちろん、全然別の方法かもしれません。
 或いは、創作物も特許の様に(この場合は出版社などの発信元に)公開される見返りに、一定期間保護されたり、(独占的に)特許料のような形で還元されたりするのかもしれません。(消費者と消費者、消費者と出版社、出版社と創作者で権益の還流が非同期になるイメージ?)
 私には、単純に「こうするのが本来では?」と言える方法を予想することすら出来ません。たまにこうして夢想するのみです。ですから、私は今のところ現在の社会のルールに (なるべく) ケチを付けずにいます。f(^^;


 3点めについては、特に考えたことは有りません。社会が変われば、当然追従してくるでしょう。変わることによるデメリットが大きい場合は、社会が変わらないように努めるでしょう。その程度の予想が、私の精一杯です。


 なんか、本当に読書感想文になってしまいました。ま、いいか(^^;
 今回の森先生の記事は大変興味深く、自分なり(アホなり)に考察するに当たり、大変参考になりました。
 こんな僻地からではありますが、素人にも分かりやすく要約し直してくださいましたことに御礼申し上げます。m(_ _)m (たぶん、ここはご覧になられないでしょうけど)


 とても興味のある分野ですので、またいつか、誰かが何処かのメディアに、勉強になる情報を掲載して下さる日を楽しみにしています(^^)