はてなアイデアについて
まぁ書かなきゃいけないのかな、という思いと、もう自分は書くべきでは無いだろうという思いが錯綜するわけで。
実際、ここに書けることなど、言いたいこと、言わねばならないことの1%にも満たないだろうとも思います。
はてなアイデアというサービスは、もう完全に私の手を離れたところに有りますから。
それでも、サービス開始当初のスタッフ側の志とか理想と、現在のサービスの実際のズレなんかは、当時と今の両方を知るユーザーでないと書けないわけで。。。
別にそれが私でなくても良いというか、私で無いほうが良いという気もするので、ダラダラと迷ってるのですが、どーしたものでしょうねー。
ま、書いても害が無さそうなことだけ書いておきます。そのかわり、何の役にも立ちませんが(^^;
(以下、続きを読むと、メチャ長文です)
第一に、はてなアイデアは、アイデア市場という発想の元、一般ユーザーからの要望を吸い上げ、多くのユーザーが価値あるものと認めた(玉石混淆の)「玉」の部分をサーベイすることを目的として作られました。
(株)はてな様のリソースの総量に比べ、要望の総量が圧倒的に勝り、それを実装するどころか把握することすら難しくなった、という問題意識から生まれたシステムです。
以下に、当時のはてな様の発言、主に近藤社長の熱い思いを列挙してみます。
- はてなアイデアベータ版開始 - はてなアイデア日記 - 機能変更、お知らせなど
- はてなへの要望管理システムについて
- 『はてなダイアリーへの要望などが見れなくなってきている』
- 『ダイアリー以外への要望窓口が確立されていない』
- 『はてな内で要望が判断されたのかを教えて欲しいという欲求に答え、判断を外に出していきたい』
- 『単純な投票システムというのも考えられるが、実装されそうかどうか、という観点を入れて、見るべきものが上に上がってくるようなものにしたい』
- 『プラスゲーム要素』
- 『不具合、要望は今回の仕組みでいけると思っている』
- 『不具合は利回りが良い』
- 『あまりに致命的なものはメールで欲しい』
- 『アイデアについては、要望をまとめたりする部分で協力をいただけるかもという感触を感じている』
- 2005-05-13
- はてなアイデアをくっつける - jkondoのはてなブログ
- 『こう書いてくると、はてなの都合の良いように、ということばっかりを考えているようで恐縮ですが、継続不可能な仕組みにして有名無実化するよりも、多少の不便に目をつむっても継続可能な仕組みにしないといけない、と思っています。』
- はてなアイデアの市場化について - はてなアイデア日記 - 機能変更、お知らせなど
- 予測市場で要望を吸い上げる - jkondoのはてなブログ
- 予測市場で要望を吸い上げる2 - jkondoのはてなブログ
- 『10人のユーザーからある要望に対して賛成票が投じられているけど、実はそれを望んでいるのは25万人のうちその10人だけで、他のユーザーは現在の機能で満足している、という場合も考えられるわけで、この「他のユーザー=物言わぬ人々」の気持ちをいかに考えられるかが大きな問題でした。』
- 『そういう時に予測市場という仕組みに注目をし始めました。』
- 『「どの映画が賞を取りそうか」という予測の際には、「自分がどの映画が好きか」という問題以外に、「他人はどの映画が好きそうか」という他人の視点が入ります(ケインズの美人投票理論ですね)。これはまさに、さきほどの「他のユーザー=物言わぬ人々の気持ちをいかに考えられるか」という問題の解決法になると考えました。』
- 予測市場で要望を吸い上げる3 - jkondoのはてなブログ
- 『一見、参加者が思い思いに活動をしているだけだが、総体的にみると非常に正確な予測を行うという予測市場の仕組みは、Wisdom of crowds=集合知を生かす仕組みとして時に有効な手段として働く事が分かりました。』
- 『当初の、「きちんとはてなの意思が伝わり、ユーザーの皆さんに使っていただき、機能する状態になるだろうか」という心配はひとまず払拭できたので、いよいよアイデアの取引の仕組みの実装を行いました。』
- 『アイデアを株として取引し、1000株発行以降も任意の価格で売買が行える仕組みにしたのです。当初の発想どおり、予測市場と言える仕組みになりました。この仕組みがうまくいくのか、はたまた、ユーザーの皆さんから要望を吸い上げる方法としてこの仕組みが理想なのかは現時点では全く分かりません。結局のところ、複雑すぎてあまり利用してもらえずに終了するかもしれません。常識的な見方をすれば、相変わらずぶっ飛んでるという見方が普通だと思います。』
- 『でもこれまでのやり方だって、要望の窓口が満足に機能していた時期なんてほんの少しの時期だけだったし、基本的には失敗の連続だったわけです。結局大事なことは、はてなはユーザーの要望を聞きたいと思うし、どれだけサービスが大きくなっても、その要望を直接読んで、サービスの改善に繋げる事を最後まで諦めないんだ、という事だと思います。』
- 『しぶとく工夫を続けていれば、そのうち良いこともあるんじゃないかなと思っています。』
・・・当時の真摯な思いが伝わってきませんでしょうか。
でも、現実には、はてなアイデアは、それまでの要望吸い上げメソッド同様飽和してしまいました。
未処理アイデアの数は、はてな様の専任スタッフが追いきれないのはもちろん、“市場”で株を売買するユーザーにも把握できない数になり、全体としては、もはや“アイデア市場”としても機能していません。(市場を維持して下さっている有志の方々を除けば、せいぜい直近一ヶ月分の要望を見ていれば多い方でしょう)
私には、はてなアイデアは“アイデアの墓場”に近づきつつあるように見えます。 ← これは、私の主観ですね。
今、はてなアイデアを止めてしまうのは大いなる後退ですので、それは望みません。他の良い方法に代替されて発展的に解消することは有っても、要望窓口自体の放棄は出来ないでしょう。
こうすれば良いのじゃないか、という『アイデアの種』くらいなら思いつかないことも有りませんが、それを言うのは、(今の)私の役目ではなさそうです。
ただ、近藤社長の当時の思い、『継続不可能な仕組みにして有名無実化するよりも、多少の不便に目をつむっても継続可能な仕組みにしないといけない』『はてなはユーザーの要望を聞きたいと思うし、どれだけサービスが大きくなっても、その要望を直接読んで、サービスの改善に繋げる事を最後まで諦めないんだ』『しぶとく工夫を続けていれば、そのうち良いこともあるんじゃないかなと思っています』を忘れず、よりよいシステムを作り上げていただきたいと願うばかりです。
参考(近藤社長のその他の発言)
- 『2005-05-11』
- 『2005-05-17』
- 『社内会議を音声で公開する - jkondoのはてなブログ』
- 『社内ミーティングの公開 - jkondoのはてなブログ』
- 『アイデアミーティングに参加可能に - jkondoのはてなブログ』
- 『ユーザー参加型会議 - jkondoのはてなブログ』
- 『アイデアミーティングの形式変更について - jkondoのはてなブログ』
この推移を拝見して、とても寂しく思いました。
また、ベータ初期の頃にテスター的に参加したユーザーの一人として、現在はてなアイデアで頑張ってくださっているユーザーの方々に良いサービスを引き継げなかったことを、申し訳なく思っています。