キーワードルール改訂の考え方(sasada版)
過去、キーワード界隈で起こった主なトラブルの原因は、
- 定義のあいまいさ(明確性の低さ)
例:- 「キーワードに適した」
- 「多くのユーザーにとって有益である」
- 定義(登録可能範囲)の不適切さ
例:- 非名詞の登録不可(去年)
- 用言の活用語の登録可(現在)
によるものだったと思います。
少なくとも、解決を遅らせる要因はこれだったのではないかと。
ルール改訂で焦点になるのは、この部分の取り扱いだと思います。
今回のはてな様の改定案(d:id:hatenadiary:20040819#1092891901)
- 普通名詞
- キーワードに適した固有名詞
- はてなダイアリークラブ
- 新語・流行語
- ジャーゴン
- 多くのユーザーにとって有益であるキーワード
は、大くくりには「名詞(大部分) + 非名詞(一部)」と書けます。
これで、「登録できない名詞」と「登録できる非名詞」が明確であれば、ルールとして合格かと思います。
でも、そうなってません。残念ながら。
これは、「すこしでも多くの自由度をユーザーに与えよう」との思いを優先してのことだと拝察します。ありがたいことです。
しかし、このやり方では、過去の失敗に学んでいるとは言えないのではないかと思います。
「出来るだけ自由度を損なうことなく、登録の可否を明確にすること」
今回のルール改訂を成功させるキモは、ここにあるかと存じます。
項目で表すなら、「自由度(A)」と「明確性(B)」ですね。
ちなみに、第2優先度で「一読してイメージしやすいこと → 可読性(C)」、第3優先度で「登録できる範囲が適切であること → 安全性(D)」を掲げたいと思います。*1
もっとも、はてな様が今回つけた優先順位は、(C),(D),(A),(B)の順かな、と思いますけど(^^;
とりあえず、そこはスルーします(笑)
さて、私は「(A) 自由度」を優先する為、名詞縛りを嫌っています。
抽象的に言うと、『制限された範囲(名詞の多く) + 特別に許可した範囲(非名詞の一部)』方式 による「(D)安全性?」よりも、『許可された範囲(キーワードの理念) - 特別に制限された範囲(用言止め等)』方式 による「(A)自由度」を取ります。
いや、定義の曖昧さを排除できるなら、「名詞の多く」+「キーワードに適した非名詞」方式でも納得します。なんといっても安全ですから、その選択肢はアリです。
でも、残念ながら、曖昧さは排除できてないですよね?
したがって、下記のようなプロセスを想定しないといけません。
はてな様原案の方法で「キーワードに適した非名詞」を充実させるには、チャレンジャーの存在を仮定しなければなりません。
「これは大丈夫だろう」と思う非名詞を登録してみて、結果論的に「認められた/認められなかった」というプロセスでしか淘汰できません。・・・よね?*2
結局のところ、軋轢なしに開拓は進まないわけで、人口5万人が快適に住めるようにするのは骨が折れると思います。
もう一つの引っかかりは、登録できない名詞があることです。
「はてなダイアリークラブ」でも「新語・流行語」でもないものは、比較的判断しやすいでしょう。
しかし、「ジャーゴン」でも「キーワードに適さない固有名詞」でもないことを判断するのは難しく、これも揉め事の種となります。*3
つまり、名詞縛りの体裁を整えつつも、「名詞」で縛りきれてないのです。
結局「キーワードに適したもの」を決定的に定義できないのであれば、『制限された範囲 + 特別に許可した範囲』方式による「(D)安全性」は確保できません。メリットが活かせないです。
それくらいなら、認められるものを全て認めておいた上で、過去の経緯などで不可となったものを弾いていく、『許可された範囲 - 特別に制限された範囲』方式のほうが、「(A)自由度」を確保するメリットがある分、定義方法として優れていると思います。
で、sasadaとしては『キーワードに適したものを含む大きな範囲(A1) - キーワードに適してないと分かっているもの(B1)』方式を唱えているわけです。
もちろん、この方法でも「(B1)に属さないが、不適切なキーワード」の登録を防げません。
これが、ただいま現在起こっているトラブルであり、その教訓を活かせてないことになります。
ただ、私は、現在のルールでは、(B1)部分が曖昧でゼロに近いために上手く運用できていないだけだと考えています。
適切かつ分かりやすい形で(A1)を定義し、過去の経緯を活かした(B1)を設定すれば、運用は難しくなかろうと思います。
この方法の真の欠点は、時間の経過と共に(B1)部分が膨れ上がり、理解が難しくなり、更には陳腐化し、いずれ役に立たなくなる恐れがあることです。
そうなると、現状と同じ混乱が再現されることになります。
適切なタイミングで、(B1)部分をメンテナンスし続ける必要が生じます。
この点において、『許可された範囲 - 特別に制限された範囲』方式は、『制限された範囲 + 特別に許可した範囲』方式に劣ります。
これは、自由を広く取ることを優先させる代償です。
御注意ください(^^;
実は、ここまで考えた上で 昨日の日記の「はてなダイアリーキーワードのルール改訂について(2)」に繋がってます。
「キーワードに適さないもの(B1)」に悩むのも、ここが成否を分けると思えばこそです。
長くなりましたが、そう思ってアレを読んでいただくと、sasadaの意図が分かりやすいかと存じます。(^^;
*1:キーワードは自由度が命です。また一般のWeb検索に対するアドバンテージとして、新規性・話題性が尊ばれますので、『登録可能範囲の妥当性』は頻繁に変化することが予想されます。
登録可能範囲は、注意深く設定しないと、不適切なキーワードをたくさん呼び込みやすくなり、定義の明確さの確保を阻害します。
もっと深刻なのは、理念的には登録を歓迎するキーワードを登録できなくなったりすることです。
登録可能範囲の妥当性とは、キーワード登録ルールの安全性でもあります。と言うイミでの、安全性です。はい(^^;
*2:もちろん、キーワード作成ガイドラインが復活できますので、安全なキーワードはある程度分かりますが、そこで立ち止まると新語への対応が硬直するので、やはりチャレンジャーは必要です。
*3:ここは、今までの歴史の繰り返しですよね。