個人にとっての集合知をどこに置くか

 昨日のセクション「重要なのは、個人にとっての集合知の選り分け」「はてブのリコメンド」に関連して。


 その後、DocSeriさんのダイアリーへのブックマークで、『(略)とりあえず Amazonチックに"このURLをブクマしている人はこんなURLもブクマしています"とかエントリーページや各ID TOPに組み込めないモンですかね』というコメントを拝読しました。
 エントリーページに『このURLをブクマしている人はこんなURLもブクマしています』って掲載されてたら、ついクリックしてしまいますよね。クリックがクリックを呼んで、まさにアマゾン状態!! 気がついたら大きなAMAZON段ボール箱と空っぽのサイフ、というあの中毒症状がはてブにも訪れるのかと思うと、思わず応援したくなりました!!


 が、私は(今となっては)隠居老人ユーザーで、年寄りには、ウザイ昔話をクドクドとつぶやく、という重要な役割がありますので、ウザイ昔話に絡めて少し考察してみます。


 端的に書くと、エントリーページへのお勧めエントリー追加は、おとなり日記キーワードリンクのときと同じ「精度不足」や「拒絶反応」との闘いになると思います。
 お勧めエントリーをクリックしても自分にフィットしないページばかりが出てくれば『S/N比が悪い。石ばかりじゃん』となりますし、自分の日記のエントリーにお気の召さないお勧めエントリーが列挙されていれば、『ふさわしくないお勧めは削除してください!! いっそ機能を廃止して!!』といった反応が出てくるでしょう。


 たとえば、普段「はてな」について語っているブログで、教育と政治に関する話題を扱ったとします。このブログは普段「はてな」関連ブックマーカー御用達だったとして、そのエントリーだけが「教育」関連や「政治」関連のブックマーカーの興味を引いたとします。
 この場合、そのエントリーの影響で、「はてな」関連を求めるユーザーさんに「教育」「政治」関連のお勧めがズラズラ出たりしても困るでしょう。逆に「教育」「政治」関連を求めるユーザーさんへのお勧めに「はてな」関連のエントリーが並んでたら「はてな村ウザイ!!」となるかもしれません。
 もっと単純に、お勧めエントリーが全部チェック済みのものだったら萎えるかも。


 今まで、「はてな」様とユーザー有志の皆さんは、この種の問題と散々格闘を続けてきました。ひょっとすると今でも格闘されているのかも。
 だから、この種の機能は(魅力的であれば有るほど)慎重に検討してから実装しないといけません。


 なぜこんな問題が起こるかというと、エントリーページという公共の場に「個人にとっての集合知」を置こうとしているからです。
 公共の場に集合知を置こうとすれば、どうしても「公共にとっての集合情報」になりがちで、「公共にとっての集合情報」は、個人にとっては玉石混淆の「集合愚」に見えるからです。


 よって、「個人にとっての集合知」は、出来るだけ個人のスペースに置くべきです。
 公共のスペースに置くにしても、表示結果に「その人個人の好み(タグクラウドでも個々のブクマでも)」を反映して、各ユーザーに特化した(精度の高い)お勧めリストを表示するべきです。*1
 でないと、結局、『お勧め』が玉石混淆状態から脱却することは無いでしょう。


 ちなみに、個人のスペースは、各ユーザーのページだけとは限りません。
 たとえば、自分が或るURLをブクマしたときに『このURLをブクマしている人はこんなURLもブクマしています』とか表示されて、その半分くらいが自分の好みに合ったエントリーで、まだ自分がブクマしてない(出来れば未チェックの)物だったら凄く嬉しいだろうな、とか思います。


 兎にも角にも、『集合情報から集合知を抽出する便利さ』にはフォーカスを当てていきたいところですし、『個人にとっての集合知の掲載場所・方法を間違えない』ことに留意したいものです。

蛇足

 『集合知を抽出することにより視野狭窄が起こるのではないか』との懸念があります。この種の検討をするときには、この視点も重要です。
 ただし、今回の(私の)検討では、今までの機能を変更するわけではなく、単に追加する方向なので、今より視野が狭くなる、少なくともそれを強制される心配は無用かと存じます。

*1:ここさえクリアできれば、エントリーページに『このURLをブクマしている人はこんなURLもブクマしています』って掲載するのは大歓迎です!!